あなたの為を思って。かわいそうな私のお母さんの言葉は、全て嘘っぱちだった

はるのみちるです。親そして大人という存在は強大で恐ろしくて、子供だった私にはなすすべなし。約20年の月日が流れ、私は大人になりました。うちの実家が毒親で マジ魔窟だったから聞いての続きです

はるの

結婚・出産を機に、自分の親子問題に気付くというパターン
実は多いのではないでしょうか?

しかし時すでにお寿司。いえ遅し、なのです

私は結婚し、新しい命を授かった。日に日に大きくなっていく私のお腹。健診で病院へ行くたびに、こう聞かれるようになった

「里帰り出産はされますか？」

……実家に帰る？私の子供を連れて？？
邪悪な魔王と、可愛い私の赤ちゃんを接触させる？？？

否！

毒父のいる実家には、里帰り出産などしない

親として、悪いものは子供から遠ざけたい。だからモンスターの巣窟には帰らないと決めた。私は十分大人になった。今こそ、魔王に反旗を翻す！そう、時は満ちたのだ

先ずは、かわいそうな私の母親を救出する。夫である醜悪な魔王に虐げられ、つらい思いをしている事だろう。マイホームでも立てて、一室を母の居住スペースとしよう。そして彼女に、私の赤ちゃんの世話をお願いする。親孝行もできて、一石二鳥。素晴らしいアイデアじゃないか！

うきうきと、私は夫に相談した。きっとすぐ、夫は賛成してくれるだろう

…ところが！

私の名案は、夫により即却下されてしまった。くそぅ、わからずやめ！そういえば、前から気に食わないところが多々あったのだ。赤ちゃんには父親が必要だから、優しい母親である私は我慢するけどさ。そうでなければ、家を出ていくところだ。まじムカつく旦那めっっ！！

かわいそうな母は子に、真実を告げる

ムカつく旦那に、どう対処する？子供の前で、面と向かって喧嘩するのは教育上良くない。賢いママである私は後でこっそりと、子供に真実を伝えれば良いのだ。あなたの父親が、どんなに横暴か横柄か。ママはあなたの為に、どれだけ我慢しているのか。そう私の母親が、私に教えてくれたように。優しい母は、私が悪に染まることがないよう導いてくれる

？？？

ほんとうに子供のためを思うのなら、人格・その他に明らかな問題がある人物とは離れた方がいいと思う。それがたとえ、子供の父親であっても。夫は確かに、私と性格が合わないところがある。かと言って、自分の子供にわざわざ教える必要があるだろうか？状況を打開するために、もっと他に有益な手段があるはずだ

父親のダメっぷりを、子供に伝えるのは本当に正しい行いなのか？
かわいそうな母、彼女の優しさとは、何だったのか……？
何かが変だ。でも、具体的にどこがオカシイのかわからない。あたまが混乱している

いまの世の中は、便利になったものだ。知りたい情報を、すぐにインターネットで探すことができる。もちろん、それらは玉石混交なのだが。私は程なく、その言葉にたどり着いた

『毒親』

子供に配偶者の悪口、愚痴を聞かせる行為は精神的虐待にあたる。私の親は、子供にとって毒になる親ということらしい。ええええええ！？

どうやら魔王は、毒親という生き物らしい

私はすぐさま専門の書を購入し、必死に勉強した。毒親について書かれた本に載っているのは、私の父親、母親が行った行為と類似していた。なんてこと！父親のみならず、母親もモンスターだったというのか？馬鹿な！子供のために自分を投げ打つ、あの優しい母親を悪く言うなんて….！？

邪悪な魔王とはいえ、血の繋がった私の父親の悪口を聞くのは辛かった。何時間も何時間も、母親の気が済むまで。では私の父親である魔王とは。実際、どういった人物だったのか？…？わからない

よく考えると、魔王と話したことはほとんどないのだ。だって魔物になんて、怖くて話しかけたくないじゃないか。私は知っている、『ヤツ』の悪行の数々を….陰湿な性格を。…ん？

なぜ、ほとんど話したこともないのに、魔王が悪いヤツだと、私は知っているのか？それは善良で優しい母親が、私の為を思って親切に教えてくれたから。…んん？

私は知っている。私のきょうだいは、魔王の血が濃いダメな奴らだと。ほら、この前だって！色々やらかして、か弱い母親を困らせていたじゃないか。そう…母親が私に教えてくれたのだ。事細かに、丁寧に

「あなただけが頼りなの。母さんを助けてね」

きょうだいも、みんな敵。誰も信じられない

ダメなきょうだい達と仲良くしていたら、私まで同類だと思われる。自分の記憶をたどると、きょうだい達と話したこともほとんどない。いや、日常会話程度はしていたが。悩みの相談などは一度もしたことがない。きょうだい達が、どういった性格の人物なのか？母親に聞いた情報しか、私は知らない。知りたと思ったことも無い。だって『アイツら』と仲良くして、母親に嫌われたら困るから

母親の寵愛を勝ち取れる『良いコ』の座は、1つだけ。きょうだいは、皆ライバルなのだ。ライバルに弱みを見せられたら付け込まれる。一番母親の役に立つ、『良いコ』は私でなくてはならなかった。魔物だらけの世界で、生き残るために

か弱く、とても親切な母親…？違和感が強まる。落ち着いて、これまで得た情報を整理しよう。優しい母親。私の父親、きょうだい達が悪いヤツらだと、私に丁寧に教えてくれた

毒母

あなたの為を思って、 言っているのよ

それは本当に私の為…だったの？？ねぇ、お母さん

父親は魔王。きょうだいは魔王の眷属で、ろくでなし。世界はモンスターだらけ。頼れるのは、賢く親切な母親のみ。彼女に見捨てられたら、私は死ぬしかない。私は今まで、そう思って生きてきた。いや、もしかして…思わされていた？私の、かわいそうな母親によって

毒母は、子供を洗脳する

ターゲットとなる人物に、周囲の人達の悪口を吹き込む。周りに居るのは、あなたを騙そうとする悪いヤツらなのよ、などと親切に教える。ターゲットは、次第に人を信じられなくなり、周囲から孤立していく。信じられるのは、親切な『あのヒト』だけ。そのうち『あのヒト』の言いなりになってしまう。一人になりたくない、見捨てられたくないから

芸能人が大金を騙し取られた！と、テレビで見た洗脳の手口
…私の親切な母親の手法と、そっくりじゃない！？母親は家族の一人一人に、他の家族の悪行をそれぞれ話していたのではなかろうか。そして、こういうのだ

「頼れるのは、あなただけ」

私の父親も、子供を支配する魔物であったのは間違いない。しかし『ヤツ』は、下級のザコモンスターにすぎなかった。私の家に君臨する、影の支配者は別にいる。そう…か弱いはずの私の母親。『あのヒト』が真の魔王。彼女こそ、暗く果てしない常闇の世界を統べるもの

「アナタノ　タメヲ　オモッテ　イッテ　イルノヨ」

……は？かわいそうなお母さんとか、全部嘘っぱち！？親孝行しなければと、母親の愚痴や悪口を一生懸命に聞いていた。あの日々は、一体何だったというのか。あーあー、全てマボロシ的なオチ的なアレ！？

つーかさ、うちの元魔王(オス)はセックスがド下手くそらしいのだが。いやもちろん、うちの母親から入手した情報なんだけど。魔物の交配トリビアに、なんで娘のアタシが詳しくなってんだよ。いい加減にしろ
くそがー！！！

はー馬鹿馬鹿しい。魔界との交信は、もうやーめた！クソみたいなクソ魔窟には二度と帰らないと、私は決めた。もうモンスター共とは絶縁じゃボケ、なにが親孝行じゃクソが
両親と離れて、長年の重荷が一気に降りた感じ。せいせいしたわー♪

…あらあら何かな、夫くん？？

モラハラ夫くん

親と絶縁なんて。子供みたいに親とケンカしてないで、早く仲直りしなさい
キミの為を思って言っているんだぞ

私の為を思って？？なにこれ、デジャヴ？？？もしかして、もしかしてだけど、私の夫も魔界の関係者さん？！そんな、まさか…ね

実は夫も私も、魔界毒親育ちだったワケで。まぁ夫婦関係も、色々すったもんだあるワケなんですががが
それはまた別のお話し。ではまた！