あの日、あの時。私が、この世に夢も希望もないと認識するには、充分な出来事であった。私は失敗作。うちの母は、父との結婚で失敗したらしいのだが続き
クリスマスの夜、我が家に毎年訪れていたあの人。今回は、彼の話をしたいと思う
「サンタさん」
その名を聞いたことが無い人は、ほぼほぼ居ないのではないだろうか。赤い帽子、白い髭がトレードマーク。毎年クリスマスの夜に、子供達にプレゼントを届けてくれる人物だ
サンタクロースなどというオシャレなネーミング。よもや失念している方も多いかもしれないが、よく考えて欲しい
サンタさんの、あの白いもじゃもじゃの髭が生えそろうには?一体どれだけの月日を要するのか。1年や2年では、とても無理だろう
加えてあの容姿から考えうるに、サンタクロースは老人に分類されるお年寄り。そして前期高齢者ではなく、75歳以上に分類される後期高齢者ではないだろうか
言うなればサンタクロースとは、毎年毎年下々の者にプレゼントを配って下さる気前の良いジジイである
良い子にサンタは来るか?来ないか。それが問題だ
はるの みちるです。私がサンタクロースの存在を知ったのは、幼稚園の時。クリスマスの夜に、良い子にプレゼントを持ってきてくれるのだと、幼児たちの間で囁かれていた
幼児と言えば目新しいオモチャに、興味津々といったお年頃ではないだろうか
例にもれず、私はオモチャに夢中になった。テレビアニメで観た、魔法少女の変身アイテム。テレビCMで流れる、お姫様みたいなドレス。人形。キラキラしたお城
殺伐とした私の日常生活でも、あのオモチャさえ手に入れば。私の人生は、より良くなるのではないか。そんな気がしていた
子供にとって、欲しいオモチャを入手できる機会と言えば。そう、誕生日である。私は、父親に何度も頼んだ。私の熱望するオモチャが、いかに素晴らしいか、私にとって必要か
父親の答えは、いつも同じだった
オモチャなんて、
無駄無駄無駄ァ—-ッ!!!
くだらないことを考えてないで、さっさと寝ろ
なるほど闇の帝王みたいな面持ちの、父親に頼みをしても無駄なのだ。私が理解するのに、時間はかからなかった
実際、誕生日に私の欲しいプレゼントが届いた事は、一度もない。毎年、誕生日ケーキはあったと記憶しているので、まだマシだったとも言えるが
サンタさんを待ち詫びて。1年目
うちの苦虫を噛み潰したような顔の親と比べたら!サンタクロースの、なんと優しげなことか。うちの両親みたいに、よく分からない理由でハチャメチャに怒ったり怒鳴ったりしないハズ
そもそも、サンタが怒る事など、ないのかもしれない。だって、いつも微笑んでいらっしゃるもの
できる。これは期待できる!スーパー優しそうなサンタクロースならば。私の元へ、オモチャを届けてくれるだろう。確実に
幼稚園のサンタに詳しい子の情報によれば、パパとママがサンタクロースの仲介役とのこと。子供が希望するプレゼントを両親に伝えておけば、サンタクロースに伝達してくれるのだという
喜び勇んで、私は両親の元へ向かった。誕生日にプレゼントは買ってくれないけど、サンタクロースに私の希望を伝えるだけなら簡単ではないか。そう、朝飯前ってやつだ!まさに
さて!待ちに待ったクリスマスの朝。私の枕元には、サンタクロースからのプレゼントが置かれている。テレビアニメの、魔法のコンパクトなる魔女っ娘の変身アイテムだ
そそるぜ!これは
さぁ早速、開封してみたいと思いま~す(^^♪
!?????
ない、ないのだ。私の魔法コンパクトが!あたりを見まわすと、何かがポツンと置かれていた
……あれは、長靴か?サンタクロースの!?
テッテレー♪私の枕元に置かれていたのは、中にお菓子が詰め込まれたサンタの長靴であった。えっ!?なにこれ?私、こんなの頼んでない
私は半泣きで、サンタクロースの仲介者である両親に確認してみた。パパとママは、私の希望をサンタさんに伝えてくれたはずなのに、全く違うものが届いていると
良い子にしてなかったから、オモチャは無理だったんじゃないww
オモチャなど無駄無駄ァァァ!
お菓子の方が、よほど良いじゃないか
などど、うちの両親は言うばかりで、取り付く島もない
なんだ。何なのだ、サンタクロースとは
世界中の子供達に、夢と希望を届けてくれる存在ではないのか?生まれて初めてのクリスマスの朝、私はただただ泣いた
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